こ、これが林業のハーベスタ重機の性能か!イメージと全然ちがった木を切る仕事に迫る!

こ、これが林業のハーベスタ重機の性能か!イメージと全然ちがった木を切る仕事に迫る!

みなさん、こんにちは。たらぎの町をさまよい取材を続けるフルーマンです。 とつぜんですが、町名の「多良木(たらぎ…

みなさん、こんにちは。たらぎの町をさまよい取材を続けるフルーマンです。
とつぜんですが、町名の「多良木(たらぎ)」って、あまり聞き慣れないな?とおもいませんか?
実はこの町名、読んで字のごとく、良い木が多い町という意味なんです。
多良木町はその昔、「木材の町」として大繁栄していました。
それもそのはず、多良木町のある人吉球磨盆地というのは周囲が山林に囲まれた恵み豊かな土地。地図を上から見るとそのことがよくわかります!

今回は、そんな「The 木材の町」である多良木町で木を山から切り出すお仕事を続ける「才津木材(さいつもくざい)」さんのお仕事に密着取材をしてみました。

木を切り出すお仕事とは?

一口に木のお仕事と言っても、大木を板に変えていく製材の仕事や、生活道具へと変えていく加工の仕事など沢山の種類があります。
その中でも森から木を切り出してくる仕事は「木材生産業」と言うそうです。山に生えていた木を材木へと形を変えていくための最初のお仕事でもあります。このお仕事のことを「知っている!」と答えた方の中には「WOOD JOB!」という矢口監督の映画をご覧になった方もいらっしゃるかもですね。
私も観ました。ウッジョブ!。とてもおもしろく、現代の林業がわかる内容になっています。

林業にスポットをあてた映画『WOODJOB!

まだ、観ていない人で、林業をお知りになりたい皆さんにもオススメします。とくに私は、長澤まさみさんが終盤クライマックでババーン!とかかげた「愛羅武勇」に度肝を抜かれて、忘れることができません。
気になる方は是非ともチェックしてみてください!

圧倒的なウェルカム感の才津木材へ到着

さて、話しを戻しまして、多良木町は才津木材を目指します。町の中心から数分車で走りますと、ありました。才津木材!

材木を運び出すトラックでしょうか?とても大きなトラックが敷地内に駐めてあります。

車に目をやると、、、312(さいつ)ナンバー。

こっちも、、、312(さいつ)ナンバー。

まちがいなく、才津木材のようです。

大きな緑色の字で書かれた看板を通り抜けますと、事務所入り口には、幸福のシンボルふくろうが出迎えてくれるというWELCOM感溢れる会社です。

事務所の中では代表の才津清一さんがお話しをしてくれました。
実はもっと、モノごっつい方が出てくるのかと思いきや、とても上品そうな雰囲気でホッとします。

代表の才津清一さん

才津木材では、主に九州の杉やヒノキの山林の伐採を行う「木材生産」を営んでいらっしゃいます。先代から受け継いで事業を続ける才津さん。いろいろな資料をもとに、木材生産の仕事の概要や、これからの展望などたくさんの熱い思いを語ってくれました。

才津さんによると、林業は最盛期の1980年ごろから、段々と国内需要が下がり、木材生産は最盛期と比べると算出額は約4分の1。当時は多良木町にも20件は合ったという同業者も相当数廃業されてしまったとのこと。

※出典:林野庁

林業は戦後、貿易自由化の波や生活様式の変容など、さまざまな外的要因に翻弄されてきました。そんな荒波の中、才津さんは仕事の仲間とともに知恵を出し合って乗り越える工夫を行ってきたそうです。
「例えば、少しでも木材を高く売るために伐採の方法を工夫したり、以下に経費をおさせるために、効率の良い運び方を考えたりとみんなで知恵を出し合ってきました」
と語る才津さん。
この道50年を超えるベテランから、入ったばっかりの若手まで幅広い年齢層で構成される才津木材の伐採チーム。現場ではどのように仕事が行われているのか?
とても木になってきたので、もとい、気になってきたので、さっそく現場に連れて行って貰いました。

才津木材の皆さんの出勤場所「山」へ到着

車で揺られること40分。人吉球磨盆地周辺の山林に到着!
この日は、杉の木を切り出す作業を行っていると言うことでした。
すでにチームの皆さんは作業にとりかかっており、かなり密集した杉の森ですが、非常に手際良く進んでいる様子です。
才津木材さんでは2016年現在、年間に約10ヘクタールほど、本数にして約3万本ほどの木を伐採しているとのこと。3万本!凄い本数です。
いったいそんな本数どれだけの人数でやっているんでしょうか!

 
「実際に木を倒すところをお見せしましょう」と声をかけてもらい、実際に木を切るところを見せてもらいました。
まずは、よく木を見て、倒す方向など手順を確認します。
ベテランになってくると、風や木の状態を見て狙ったところにピタリと倒せるようになるそうです。

チェーンソーを構えて

ガガガガガガー!!!

スゴイ音です。

そして、あっと言う間に木に切れ込みが!
今回は、この切れ込みを入れた側に倒すみたいです。

そして、さらに倒れる方向など再度入念にチェックして、反対側にも切れ込みをいれて、、、


最後はクサビをコンコンと打ち付けて…

ズドーーーーン!

 

地響きとともに倒れました−。

チームワークでどんどん木を運び出す

さて、木を切り出すだけではなく、切った木を山から運び出すのも大事な仕事です。しかし一体こんな大きな木を、この山の斜面からどうやって運び出すのでしょうか?まさか、、手運びで??
そんなワケはなく、斜面の下の方で切り出された木たちは、トラックのあるこの集積場までワイヤーでひっぱられて、ひとまず一箇所に集められます。
この方式を索道集材(さくどうしゅうざい)と言うそうで、いわゆるロープウェーのような方式でグングン切った木をワイヤーで集めていきます。

ここがいったん木が集められる積み込み場

巨大な木を運ぶワイヤーはすべて手動で運転されます。下の方で木をワイヤーに引っ掛けるのを確認すると…

レバーを捜査してロープウェーを動かします。

すると…


 
あの、大きな木がウィーーンという音とともに、グングンこちらに引っ張られてきます!


すごいスピードでまきあがるワイヤー。

そして、ロープウェーの終点である積み込み場では、なにやらロボット感のある重機が待ち構えています。

このマシンこそが、ハーベスタという伐木、枝払い、玉切り(素材丸太にすること)などを一挙に行える最新の重機なのです。コックピット横で木の到着を待つ、操縦者!がかっこいいです。

そして、さきほどの杉の木が到着しました!近くで見ると大きい!!

すると、さきほどの重機がすばやい動きで、この木をキャッチ!

そして、アッという間に、丁度良い長さに丸太にザンザンと切っていきます。しかも同時に枝も落としていきます!

なんという万能感。。。

まるで、操縦者の腕のように繊細な動きで次々と丸太を作っていきます。

こ、これが連邦の、、、ハーベスターの性能というやつか。。。
圧倒的な力です。なんか操縦が楽しそうですら有ります。。。


最後は、丸太を四、五本もくるっと掴んで、一箇所に積んでしまいました。

こんな感じです。ぐいーん。ぽこん。これは、クレーンゲーム好きにはたまらないいつまでもやっていられそうな作業!!


あっと言う間にこの集積!

ある程度貯まったら、今度は山からおろすためにトラックに積み込みます。
このトラックにもクレーンとアームがついていて、ホイホイと丸太をトラックに積み込んでいきます。

こちらがトラックのクレーンのコックピットです。開放的!

こんな感じでトラックに積み込み終えたら、トラックは町の製材所へと出発して一丁上がりという感じです。
なんというチームワーク!そして、思っていたよりも近代的でロボット感溢れる現場なんですね!これはもう機械いじりが好きで、操縦好きにはたまらない仕事なんではないでしょうか。これまで体力自慢しかこの仕事はできないと思い込んでいましたが、もしかしたら、親父にもぶたれたことない人でもできる可能性もありますね。。。

昔とは違う。最新の林業事情とは?

才津木材さんはこの作業を1チーム5名という少人数でこなしているんだそうです。
抱いていた木こりさんの感じとはちょっと違う近代的なイメージでびっくりしました。
ちょうどお昼の時間になったので、メンバーの皆さんにお話しを伺ってみました。
この日は皆さんでお肉や魚を豪快に網焼き!

まずは、チーム最年少20代の西さんにこの仕事の楽しさを聞いてみました。

西さん曰く「以前は、車関係の仕事をしていたんですが、今の仕事のほうが楽しいです。自然が相手なので、現場も日々変わるし、ルーチンという感覚がなく、毎日新鮮さがあります。」とのこと

才津木材の1日は7時に事務所に出社、そこから移動して8時ごろ現場で作業開始。途中休憩を挟んで、陽が暮れる夕方16~16時半ごろには現場作業を終わらせます。この仕事は残業が基本的には無く、夕方にはお仕事が終わるので家族サービスもちゃんとできるそうです。

そして、この道50年にもなるベテラン阪本さんもまだ元気に現場に出て、主に後任の指導にあたり若手の育成も続けているそうです。とても長く仕事を続けられるんですね!

最後に才津さんにお話しを聞きました。

「この国では植林をしてきた杉やひのきが丁度今伐採期になっている。ところが切る人が少なく、なかなか追いつかないところがあります。山は手入れをしないと、地滑りなどで下の民家へ木が滑り落ちるようなこともあります。そういう大切な役割も担っていると思うと、良い仕事だなと思います」

変わらないところは変えず、作業効率は昔に比べて格段に近代化した最近の林業事情。まだまだ担い手が少ないらしく、才津木材でも人材を常に募集しているそうです。

みなさんが思うほどには体力が必要なこともなく、女性の担い手もいるそうです。才津木材ではとにかくもっと身近に山のお仕事をしってもらいたいと、一般の方の見学ツアーなども企画してみるなど、今後の林業の展望に意欲を見せていました。

もしご興味の有る方がいたら、ぜひ才津木材さんまで問い合わせてみてください!

楽しく仕事をできる仲間をおまちしております!!

才津木材

才津木材

住所
〒868-0502 熊本県球磨郡多良木町黒肥地2485-2
電話番号
0966-42-7122
素材生産
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